バンダBandhas(基本テク)
バンダまたはロックは、クンダリーニ・ヨガで頻繁に使用されるテクニックで、筋肉の収縮の組み合わせによって成り立っています。それぞれのロックは、血液循環や神経圧、脳脊髄液の流れを変える役割を果たし、霊的エネルギーであるプラナの流れを主要なエネルギー経路に導き、クンダリーニエネルギーを高めます。これにより、エネルギーを意識やセルフヒーリングに集中させることができます。重要なバンダには、ジャランダラ・バンダ、ウディヤナ・バンダ、ムルバンダの3つがあります。これら3つのロックを同時に適用することを「マハバンダ(偉大なロック)」と呼びます。
◎ジャランダラ・バンダ(Jalandhar Bandh)または首ロック
クンダリーニ・ヨガで最も基本的なロックは、ジャランダラ・バンダ、すなわち首ロックです。このロックは首の後ろを優しくまっすぐに伸ばし、顎を後ろに引きます。胸と胸骨を上げ、首や喉、顔の筋肉はリラックスさせた状態にします。頭を水平に保ち、顎を下や前に傾けないようにします。頸椎の骨がまっすぐになり、プラナエネルギーの流れの増加し、脳の上部の腺に自由に届くようにします。これはとても重要です。
クンダリーニ・ヨガのクリヤでは、大量のエネルギーが生成されます。サイキックヒート(霊的な熱)を生み出し、ブロックされている可能性があるプラナのナディ(エネルギー経路)を開きます。これらの経路が急激に開くと、時として、血圧が急に変化し、めまいが生じることがありますが、ジャランダラ・バンダは、この現象を調整する役割を果たします。
このロックを用いることで、甲状腺と副甲状腺が刺激され、適切に分泌され、下垂体の高次機能が活性化されます。このロックが適用されていないと、呼吸法によって目や耳、聴覚に不快な圧力がかかることがあります。特に指示がない限り、すべての瞑想ではジャランダラ・バンダを適用することが一般的なルールです。
◎ウディヤナ・バンダ(Uddiyana Bandh)または横隔膜ロック
ウディヤナ・バンダは、横隔膜を胸郭の高い位置まで持ち上げ、上腹部の筋肉を背骨の方に引き寄せます。この動作は腸や心臓の筋肉を優しくマッサージします。背骨はまっすぐに保ち、通常は息を吐き出した後に行います。吸気時に力強く適用すると、目や心臓に圧力がかかることがあります。
このロックは非常に強力で、プラナの力が背骨の中枢神経系を通り、首の部分にまで浸透します。また、視床下部-脳下垂体-副腎(HPA)軸を刺激する直接的な効果もあります。このロックは慈悲の感覚を刺激し、体全体に若々しさを与えると言われています。ラヤヨガ、クンダリーニのマントラでは、このロックをリズミカルに用いることが、マントラの最高の効果を達成するとされています。
◎ムルバンダ(Mulbandh)または根のロック
ムルバンダは、最も頻繁に使用されるロックですが、同時に最も複雑です。このロックは直腸、性器、そして丹田のエネルギーを調整し、結びつけます。「ムル」は根、基盤、あるいは源を意味します。ムルバンダの最初の部分は、肛門括約筋を収縮させ、便意を我慢するかのように、引き締めて持ち上げます。それから、尿道が収縮するように性器を引き上げます。最後に、下腹部を背骨の方に引き寄せることで丹田を引き締めます。そうすると直腸と性器が丹田に向かって引き上げられます。
この動作により、身体の2つの主要なエネルギー、プラナとアパナが統合されます。プラナは上半身と心臓の中心に存在する陽性の創造的エネルギーで、アパナは排出を司る下向きのエネルギーです。ムルバンダは、アパナを引き上げ、プラナを丹田に向けて引き下げます。このエネルギーの組み合わせにより、クンダリーニエネルギーを解放するための必要なサイキックヒート(霊的な熱)が生成されます。このロックは、息を吐く時に適用しますが、指示があれば吸気時にも適用されることがあります。
◎マハバンダ(Mahabandh)または偉大なロック
マハバンダは、3つのロック(ジャランダラ・バンダ、ウディヤナ・バンダ、ムルバンダ)を同時に適用することです。すべてのロックを適用することで、神経と腺が若返ります。マハバンダの練習、習得により、上記3つのバンダの効果に加え、夢精や性的妄想へのとらわれが和らぐと言われています。また、血圧を調整し、生理痛を軽減し、睾丸、卵巣、前立腺など下部の腺への血液循環を増加させます。(sg85)